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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー20【朝顔】

第二十帖  <朝顔 あさがお>

朝顔の君は父・式部卿宮が亡くなったため賀茂の斎院を辞することになります。
源氏は京を追われた頃も、斎院という神に仕える身になってからも
歌を交わし続けた朝顔の君への思いが再び募るのでした。

朝顔の君の叔母は女五の宮といって、源氏の義父・故太政大臣の正妻・大宮の妹に当たり、
朝顔の君と同じ屋敷に住んでいます。
まだまだ美しい大宮に比べるとすっかり老けてしまった女五の宮ですが、
源氏はまずこちらに挨拶していたわり、すっかり味方につけてしまいます。
けれど、肝心の朝顔の君は源氏の情熱を受け止めようとしません。

がっかりして帰った源氏は「美しい朝顔の盛りはもう過ぎてしまったのでしょうか」という歌を贈ります。
「そのとおり。あるかなきかにしおれてしまった朝顔の花が私です。」と返す朝顔の君。
源氏の思いはますます募り、世間でも「源氏の君の正妻に、朝顔の君がなるのでは。」と
噂されるようになりました。
紫の上が源氏の様子を観察しても、やはり心落ち着かない様子。
もし結婚することになれば同じ宮家の出とはいえ、斎院までつとめた朝顔の君よりも
自分は軽い扱いをされるかもしれない、と紫の上は悲しくなるのでした。

源氏がまた、女五の宮のもとを訪れるという口実を作ってでかけようとします。
紫の上には「いつも私がいたら飽きてしまうでしょう。」と言い訳。
「飽きるのは本当に嫌なことね。」と背中を向ける紫の上。
気になりながらも、源氏は朝顔の君の屋敷へ向かいます。

女五の宮は昔話をくり返しながら、源氏の前で鼾をかいて眠ってしまいます。
源氏がやれやれと朝顔の君のもとに行こうとすると、
かつて源氏と関係のあったあの源典侍が声をかけてきました。
彼女は今は出家して女五の宮のもとにいたのです。
すっかり老いつつも相変わらず源氏に色目をつかう源典侍。
藤壺をはじめとした桐壺に仕えた女御・更衣は亡くなったり
落ちぶれてしまった人も多いのに・・・と源氏は感慨深く思います。

朝顔の君は手ひどく突き放すわけでもなく、隙をみせることもないので、
源氏の心はますます乱れます。
それでも、若い頃のように無鉄砲なことはできない源氏。
周りの女房たちは源氏を気の毒に思いますが、朝顔の君は
「文を交わすだけの関係でいよう。」と決心しています。
またも拒まれた源氏は屋敷に帰り、すっかり気落ちしている紫の上の髪をかきやって機嫌を取ります。

雪が積もった夕暮れに、源氏は屋敷の庭で女童(めのわらわ 屋敷に仕える幼い女の子)たちに
雪の玉を作らせました。
かつて、藤壺が宮廷の庭に雪の山を作らせたことを紫の上に伝え
「あの方は本当に素晴らしい方だった。あなたはあの方によく似ていますが
嫉妬深くて気の強いのが玉にキズですね。」と。
朝顔の君は「文を交せる気遣いをし合う相手」、
朧月夜は「美しさの見本となる人」、
明石の君は「身分は低いけれど物事がよくわかっている女性」、
花散里は「昔と変わらず控えめな人。」と評します。

その夜、源氏の夢の中に藤壺が現われ「誰にも話さないと約束したのに。」と責めました。
隣で眠っていた紫の上は脅えている様子に心配しますが、
源氏は藤壺を久しぶりに見たことに心を奪われてしまうのでした。

恋愛セミナー 20

1 源氏と朝顔の君  昔からの思い人
2 源氏と紫の上    夫婦としての信頼が揺らぐ

源氏は老人キラーですね。
口当たりやさしくいたわってくれるのでお目当ての女性本人よりも
親や周りの人間たちが先に篭絡されてしまう。
女性のもとに手引きしてもらうにはこの周囲を巻き込む能力が必須条件。
それでも、さすがに朝顔の君へ手引きをする者はいないようです。

すっかり安心していた紫の上に、あらたな脅威が発生します。
明石の君も、他のどの女性も、身分という点では紫の上に劣っていた。
ところが今回は、通常なら内親王(帝の皇女)がつとめる賀茂の斎院だった女性に、
世間も源氏の正式な相手として納得している。
紫の上は改めて、正式な結婚のお披露目をしていない自分が、世間には
「正妻」として認められていないということを思い知るのです。


源氏は紫の上の機嫌をとるために、自分と関係のある女性のことを話すという手を度々使っています。
こんなことを話すのは、あなただけだよ、という訳。
現代の男性も、この術を使うこともあるようですが、さあその効果はどうでしょうか?
大勢の中の一番として重んじれば満足するだろうと思う男性と、
唯一の存在になりたい女性との間には古今ふかい谷間がありそうですね。

そんな女性たちと同時に話され、藤壺が源氏の夢枕に立ちます。
紫の上が眠っている側に現われるのは、彼女が初めて見せる嫉妬心にもとれますね。
出家を果し、源氏に感謝して往ったはずの藤壺。
同じく出家して逝った六条御息所も、後の帖で再び姿を現します。
この高貴な二人の女性は、源氏というこの世の妄執を
仏と縁を結ぶことでも断ち切ることはできなかったのでしょう。


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